2008-08-31

昨日の出来事

今日は5時起きで宮崎に来ている。

テコンドーの九州大会。


しましま一門、全員消滅してしまいました。

みんな次につながる内容だったから、それでよし。


なんだけど、閉会式まで何しよう。


日記でも書くか。


昨日は仕事が入っていたのだが、急に私の出番が無くなってしまった。

午後からは娘とプールに行くことになっているが、午前中は何もすることがない。

書きかけの原稿をいじっていると妻と娘が出かけていった。

美容室に行くのだそうだ。

残されたのは私と息子。

11時半。

「お父さん、昼御飯どうすると」


まだまだ妻達は帰ってきそうにない。

何か買って来てもらってもいいし、外で食べてもいいし。

う~ん。


どうしたもんかと思案していると


「お父さん、俺達が何か作ろうや」


そうだな、それもいいだろう。

けど、何を作るか考えるのも面倒だなぁ、と思っていると息子。


「これ作ろうや」

「今日の料理」という本を開いて持ってきた。

彼には既に腹案があったようだ。


鶏もも肉の醤油漬け


何分かかるんか?


「30分て書いちょう」


よし。お前、冷蔵庫見て無いもの買ってこい。

俺は皿を洗っとく。

わかった!と返事は聴こえのだがまだ台所でごそごそやっている。

早く買い物しないと間に合わないぞ。


あ。ご飯ね。


お米を研ごうとしていた。


米はな、こうやってな、最初の水を直ぐ替えて…


こういう休みもいい。

息子は帰ってくるなり調理にかかった。

スープでも作ってやろうとネギとキノコを切っていると、息子の鍋が見えた。

生姜やネギが入った湯にヒモでぐるぐる巻きになった鶏肉。

お。

なかなかやる。

鍋がもう一つ。

醤油や酒に唐辛子、ニンニクの潰したやつが入っている。

よく見るとなにやらいっぱい浮いている。

ティラミスのパウダーみたいなのが表面を覆っているのだ。
お前、何入れた?


シナモン。


あ。このなんかすーっとする非現実的な香りはシナモンか。

どのくらい入れた?

「本にシナモンスティック一本て書いてあったき、一本入れた」

彼が入れたのはシナモンパウダースティック一袋。


ちょーっと多すぎる。

彼もそれを感じたようで、焦って玉になったシナモンパウダーをスプーンですくいだしていた。

ははは!漬け汁だから大丈夫だ。


ひとしきり茹で上げた鶏肉をこの汁に漬け、味を染み込ませれば出来上がり。


取り出して切り分けていると妻達が帰ってきた。

最初、シナモンに戸惑っていた娘も全部食べてしまった。

おいしかったよ。


ご馳走さま。
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2008-08-24

無銭飲食

来月に主催する食事会の打ち合わせに、筑穂町の長野さんという農家のおばあちゃんを訪ねた。


このおばあちゃん、ただ者ではない。


昔ながらの食、特に農家で古来より受け継がれてきた食文化を次の世代に伝承するために様々な活動を行っている。

講演、料理教室、加工品生産から販売と幅広い。


とにかく忙しい。


忙しいのだが、おじゃまするたびに「それじゃお昼にいらっしゃい。なんか作ってあげるから」と何かごちそうになる。


これがまた美味しい。そこら辺に生えていた野草だったり、一ひねりの工夫だったりという技が一つ一つかっこいい。


依頼があれば、食事を出したり弁当をこしらえたりもしてくれる。


ただし、30人以上。



勿論、地元の食材のみ。

そこに長野さん流のアレンジや遊びが加わり、膳は宝箱と化す。


この筑豊の宝をみんなで味わう機会を作ろうと思う。



去年からやっているここだけ芋焼酎「たばらそだち」プロジェクトの会員さん達に呼びかけて、40名限定という企画。


その詳細を打ち合わせに指定されたのが今日。


今日は地元の蕎麦の会がイベントをやっていて、長野さんはそこで食事を出す指揮をとっていた。


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長野さんの工房前広場では会員の皆さんが蕎麦打ちをしていた。

いつも長野さんを手伝っているスタッフの方もおられた。


少し離れたところに大銀杏があって、そこで素麺流しと食事をしていた。

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あら。みなさん食事の準備してるここ、祠じゃないですこと?

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いいのである。いいことなら神様も文句は言わない。



スタッフの一人にあった。


「ご飯食べた?」


食べてない。



食べていき!と言われ、そんじゃお言葉に甘えて。


こういうシチュエーション大・だ~い好きハート達(複数ハート)


蕎麦の会の皆さんは会費を払っているのだが私はスルー。


はい。



無銭飲食。

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メニューはそうめんに鶏の唐揚げ。ただの唐揚げじゃない。なんかこう、小味の聞いたきっと長野さんの技が入っている雰囲気が口の中に広がる唐揚げ。

それから高菜炒りと芋がらとタケノコの塩付け戻したのの炒め物。

このタケノコは長野さんの芸術品である。

そして、蕎麦の芽の和え物。


蕎麦の種まきでこういう演出をするところが憎い。



会費を請求する前に長野さんに会い、詳細を詰めた。


おし。


とんずら~!


ごっつぁんダッシュ(走り出す様)


おいしかった~!


長野さんと地元食を探訪する食事会は9月28日の予定。2500円。







2008-08-21

今日のよろめき

水泳をしている。やっていると楽しいものだ。


この間、錦江湾遠泳大会に出てからもちょいちょい泳いでいる。


ときおり、ドロップアウトしそうになるが、マイミクのかんなさんの日記が気になる。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=907177448&owner_id=14615282&comment_count=12


こちらも定期的に泳いでおられる。


お会いしたことはない。


でも、筑豊のどこかでもくもくと泳いでいるのである。


「今日の泳ぎ」というタイトルが最新日記に現れる。


お!今日もいったのか!



どうにも泳がないといけなくなってしまうのである。



今日は外での仕事だった。結構長い時間、日差しの下に立っていた。


それから事務所に戻りばたばたしていると就業時間になったので、一路プールへ。


プールに着いたのは6時ちょい。着替えて6時20分。

今日はテコンドーの道場があるので、7時までにここを出ればいい。


おし!1500いくむかっ(怒り)


なかなかいいペースだった。


最初の500mは10分30秒、休まず次の500が10分50秒、残りの500が11分。


よしよし。なかなかがんばった。



そこから車を飛ばしてテコンドーへ。



車の中で少し異変に気づいた。



なんか身体がぽかぽかする。



あれ・・・。


のどが異様に渇く。



あれ。



どうやら発熱しているようなのだ。



やべ!


身体にそこまでの負荷をかけた覚えはない。


あ。鳥の唐揚げ食った。


今日は泳いで道場に直行するので晩飯を食わない。


どういう事情であれ9時以降は食わない。


これをやり始めたら、体重が減った。


6月にキューバから帰ってきたときには63キロちょいあったのが、今は57キロ台。


夜は軽いが朝はしっかりと食うから大丈夫なのである。



しかし、魔が差して唐揚げとかチイカマとか食べたくなる時はこういう晩飯を食えないときにちょこっと食うことにしている。


だから今日の私の夕食は唐揚げ一切れ。


帰り道の唐揚げやさんで「一切れください」と新発売のピリ辛骨付きを買って食べた。


泳ぐ前からちょいともたれていた。


それが私の胃腸にアタックしているのかもしれない。


そこに運動したもんだから、脱水症状を起こしたのだろう。


プールのあとのシッコがやたらと濃くて少なかった。



道場で、基本のケリが終わったところで、くらくら~っとなった。


水筒にはもう水は残っていない。午前中に飲み干してしまったのだ。


このままだと、死んでしまう。



練習を大人の弟子たちにあずけて、コンビニへ。



紙パックのお茶を飲み干したところで落ち着いた。



暑くて汗をかいたり、運動した時は水分ちゃんと摂りましょう。

2008-08-19

売り上げ

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2泊3日のセミナーもあっという間に最終日。

最初は嫌々ながらついてきた息子もここでの楽しみ方を知ったようだ。

今回、中学生が息子を含め三人いた。

いつも三人でかたまって仲良くやっていた。

徐々に空気を掴んできた息子は、持ち前の根拠のない積極性を見せ始めた。


講師が会場に問いかけると、自分の考えがまとまってなくても発言する。

親の私がはらはらする。

この積極性は彼の強みなんだろうな。


最終日前夜の座談会。

「自分は何をすべきか」

大人になった自分は何をやるべきなのか?

その問いかけの尻尾でもいいから見つけて欲しい。

最終日、参加者は全員、感想文を書く。

彼が何を書いたのかは知らない。


何か感じてくれていればよいが…。



結局、息子が売った本は40冊ほど。

報酬は二千円ちょい。


売れた報酬で食卓の向こう側6「産む力」を買った。

彼の叔母、つまり私の妹が妊娠したため、プレゼントするのだそうだ。

お前、なかなかわかってるなぁ。




帰りに菊池渓谷に寄った。


ここは前からの約束で立ち寄ることになっていた。


景色を眺めるのではない。


泳ぐ。



菊池には大場ぜきといって大きな淵があり、そこには金属製の吊り橋がある。


この吊り橋から水面まで約7m。


地元の子供たちがここから飛び込むスポットになっている、と何かで読んだ。

出発前にそのことを息子に言うと荷物に水泳パンツを押し込んだ。


現場に着くと少し小雨が降っているというのに多くの若者が吊り橋にいた。


どうだろう。コイツは飛び込めるのだろうか。

結構ビビリだから、吊り橋まで行って怖じ気づくかもな。

どうするか?と訪ねると


「お父さん!着替えよう!」


お。やる気だな!


しかし。どうだろう。大学生くらいの若者が多数飛び込めずに下を眺めていた。
写真


あそこまで行ったら泣きが入るのかもしれないな。


ここはいっちょう、かましてやろう。


おい。お前が見事飛び込めたら、晩飯はホルモンをおごってやる。


「わかった。でもお父さんが先に飛び込んでよ」


いいだろう。俺は先に飛び込むぞ。そしてホルモンを食べる。お前も後に付いてくれば食べられるが、そうでなければ連れて行かん。



吊り橋の手すりの外側に安全桁がありそこまで行ってから飛び降りるようになっている。


私は基本的にこういうのが大好きだ。



ワイヤーの手すりをまたいでからその桁に立った。


おおおお!怖ええ!


こういう時、やってはいけないことがある。



”考えること”


あれこれ考えていては飛び込めない。



何も考えずにすっと前に飛び出す。


この一瞬が作れれば後はなるようになるのである。


すーい!



ばしゃ~ん!

いい音を立てて着水し、そのままの勢いで川の深くまで吸い込まれた。


ぐん、ぐんと手で水をかいて水面にあがった。



ふっと一息してから、息子を見上げた。



おし!お前の番だ。



どうするのか見守っていると、



これまたすーいと何の躊躇もなく飛び込んで来た。

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お!やるじゃないか!


お前も父が知らぬ間に成長していたんだな!



川の水はすこぶる冷たく、二人して歯をがたがたいわせながら岸まで泳いだ。


1回飛び込んで二人とも納得してしまった。


帰ろうか。


帰ることにした。


疲れたのだろう、帰りの車ではほとんど眠っていた。


しかし約束なので、ホルモン屋に寄り、夕食を食た。


家へ帰ろうとすると近くの本屋へ寄って欲しいとせがまれた。

稼いだ金で欲しい本を買うのだという。

待っていると大きく膨らんだ紙袋を抱えて店から出てきた。

中には農業関係の本。


ではなく、マンガ本4冊。


ま、そんなもんだろう。

2008-08-16

夢みたいなこと


熊本の菊池養生園という公設の診療所に来ている。

この病院では毎年夏に医食農夏期セミナーというのを開催している。

農業体験や食、命を見つめるプログラム。

今年の参加で三回目である。

家を出る時の毎回お決まりのやり取り。

父。

「お前、菊池まで何しに行くんか?」

「の、農業体験…」

「家の農業ほっぽりだしてか?」


ナンセンスな会話である。



今回は息子を従えている。

プログラムの内容を知るなり息子は「行かない」と即答した。

しかし、彼の人生において、大きな意味を持つと思ったので、少し作戦を練った。

お父さんの本を持って行くから、お前売ってくれ。只とはいわん。一冊売れるごとに50円やろう!

それでもちょっと渋ったので。

10冊売れたら500円、100冊売れたら5000円なんぞ。

千冊売れてみ!いくらになるや!


「お父さん。そんな夢みたいなことばかり言っても現実はきびしいと。」

…。

お前。


子供らしくない。


結局連れてきた。


お店は出来た。


病院のしかも公設の建物のなかに本屋さん。

セミナーに参加すると、この病院の中で寝泊まりする。


この経験も貴重だが、本を売るというのもなかなかできることじゃない。

何を得るかはお前次第。

2008-08-14

いきなり同窓会

夕方電話が鳴った。


「みんなもう飲みようぞ。」


仕事が終わってこれから帰ろうかという時間。



早すぎる。



どうやら昼間ゴルフ行ってそのまま飲み屋になだれ込んだらしい。


10人くらいのメンバーでやるということは知っていた。


その後飲むから来るように誘われていた。



しかし、早すぎる。


今から帰って車を置いて行っても7時半。


・・・・・。



結局、店に着いたのは、もう宴も終盤という雰囲気。


おおおお!店をほぼ占有。


30人以上いる。


どうやら、10人がそれぞれ知ってるやつを呼び出して増殖していったみたいだ。


結構いるのね、地元に。


みんなかなりメーターあがっている。



なんせ5時から飲んでいるのだから無理もない。



ここで追いつこうとすると墓穴を掘る。



もともと飲めない体質でそこまで無理をする必要もない。



ただ、皆の顔をみると懐かしかった。



それだけで十分。



みんなおっさんとおばさんになったな~。


わはははは。



また会おうな。




店にいたのは30分くらいだったが、私は十分満足した。



店を出るとグループが細分化されて夜の街に消えていった。



か~えろ。


今夜はわたくし、不発です。

2008-08-13

人間ドック

ぶどうが死にそうなくらい忙しいお盆初日。家族からムチャクチャひんしゅく買いながら人間ドックに来ている。

今年は40歳の指定年齢検診も兼ねる。
人間、40歳までは親がくれた体。そこから先は自分の養生。

これからはちゃんと節制しなければ早死にする。

ぽっくり逝ければいいが、糖尿病や腎臓病になって透析等の高額な医療のご厄介になれば、自分がキツいだけでなく、社会に迷惑がかかる。
なぜって?

かかる医療費の多くは税金なのだから。

国家財政において医療費の増加は年々むくむくと膨れ上がり止まる兆しはない。
好きなように生きて好きなように食って好きなように病気になったんだから、私の勝手でしょーって理屈は国を滅ぼしかねないのである。

昨日、友人の初盆にお参りした。

彼は今年の春に自ら命を絶った。まだ30そこそこ。

別に医療費を押し上げはしなかった。

お参りしおえると、お母さんがお茶を入れてくれた。

「親を越して逝くのは本当に親不幸ですよ。皆さんはお元気で。」

言葉少なげな母親の横顔。視線の先には息子の位牌。

無念さは汲んで余りある。

社会のなかで生きている以上、自分勝手は許されない。

健康で長生きすることは国民として、1人の人間として不可欠なのである。

胃カメラ用の麻酔薬が注射された。

薬の名前は何ですか?

「ドロ…なんとかです」

記憶はそこまで。

寝てる間に全ては終わっているようだ。

さて、私の体はどうだろう。

全ての検査が終わり、結果を待っている。

2008-08-11

助手

ぶどうが死にそうなくらい忙しいお盆初日。家族からムチャクチャひんしゅく買いながら人間ドックに来ている。

今年は40歳の指定年齢検診も兼ねる。
人間、40歳までは親がくれた体。そこから先は自分の養生。

これからはちゃんと節制しなければ早死にする。

ぽっくり逝ければいいが、糖尿病や腎臓病になって透析等の高額な医療のご厄介になれば、自分がキツいだけでなく、社会に迷惑がかかる。
なぜって?

かかる医療費の多くは税金なのだから。

国家財政において医療費の増加は年々むくむくと膨れ上がり止まる兆しはない。
好きなように生きて好きなように食って好きなように病気になったんだから、私の勝手でしょーって理屈は国を滅ぼしかねないのである。

昨日、友人の初盆にお参りした。

彼は今年の春に自ら命を絶った。まだ30そこそこ。

別に医療費を押し上げはしなかった。

お参りしおえると、お母さんがお茶を入れてくれた。

「親を越して逝くのは本当に親不幸ですよ。皆さんはお元気で。」

言葉少なげな母親の横顔。視線の先には息子の位牌。

無念さは汲んで余りある。

社会のなかで生きている以上、自分勝手は許されない。

健康で長生きすることは国民として、1人の人間として不可欠なのである。

胃カメラ用の麻酔薬が注射された。

薬の名前は何ですか?

「ドロ…なんとかです」

記憶はそこまで。

寝てる間に全ては終わっているようだ。

さて、私の体はどうだろう。

全ての検査が終わり、結果を待っている。

2008-08-10

家業

お盆の間は、葡萄売り。

これが我が家の掟。

大学生であろうが社会人になろうが関係ない。

8月13、14、15日とその前後は家の直売所で葡萄売り。

社会人になって17年になるが、今年も葡萄売り。

今年、歯科医院を開業した弟も葡萄売り。

例外措置が発動。

妹が妊娠してまだ安定期に入ってないので今年は葡萄売り免除。

葡萄で育てもらったんだから仕方がない。

暑いけど葡萄売り。

2008-08-06

その扉を開けてはいけない

最近、上の子が時折挙動不審。


妻によると、倉庫にどこからか拾ってきたエロ本を隠し持っていて、時々見に行っているとのこと。


まあ、中学生なんだし、そういう年頃なんだ。


しかしこの感覚は女の妻にはわからない。

せっかく拾ってきたエロ本を捨てるという妻をなだめ、そっとしておくように言った。


ある午後のこと。


私の寝室に入っていく息子を妻が見つけた。

またなにやら怪しい雰囲気を漂わせている息子に、何をしに入るのか、と聞いた。


「お母さん、この扉を開けてはいけませんよ。くれぐれも空けてはいけませんよ」


そう言って息子は扉をバタンと閉めてそれっきり。


10分ほど経った。


外はにわかに曇り、強い通り雨が振り出した。


寝室の窓が開けっ放しだったのを思い出し、部屋に入ろうとした妻。


あ。開けていきなり何か変なことしてたらどうしよう・・・。開けてはいけないって言ってたし。


迷った挙句に扉を開けた。



すぐさま、部屋の隅に座っている息子と目が合った。


「開けてしまったのですね。さようなら。」


そういって息子は部屋から出て行った。



部屋にはたたみかけの干した洗濯物。



どういう風の吹き回しか、息子は妻が取り込んだ洗濯物をたたんでいたのだ。


家事でバテ気味の妻を見て、何かやってやろうと彼なりに思ったのだろう。


チンコに毛が生えていても、まだ子供が残っている。



「あ!かず!見てない見てない!」



あわてて扉を閉めたが、もう遅い。



「見てしまったのですね~さようなら~」


息子は雨上がりの夏の空に、消えていってしまうのである。

2008-08-05

もうひとつ

大学の後輩が試合に出ていた。


すでにOB。現在大学テコンドー部のコーチをしている。


私が会場に入ろうと車を降りると、いきなり現主将を従えて現れ、挨拶をした。


「今日は私が試合に出ます」


お。お前も出るのか。



今日の試合はオープン戦。


どこのだれだろうと、出場できる。


一ヵ月後の九州大会の予行で出場するのだという。



まあ、なんでもいい。がんばっているのだな。



会場に入ると、軽量が行われていた。



軽量をクリアした後輩がエラくはしゃいで戻ってきた。



聞くと昨日1日で5キロ、今日1キロ減量したらしい。



ばかたれが。



試合は何日も前から始まっている。


自己管理できないやつは試合に出る資格なし。


私はそういうのは嫌いだ。



彼の道着を見ると、大学の名前が入っていた。


○○大学


「これを背負って出ます」



お前、俺の○○大学を背負ってるんだからな。



少しプレッシャーをかけた。



日ごろから練習はしっかりやっている。


決勝まで進んだ。



決勝戦、私もコートの裾で観戦した。



残り1ラウンドのところ、何度か足の痙攣を止めるストレッチをした。


つまらぬ減量が原因なのはすぐにわかった。



おまえ、大学を背負っとるんやろう。


目が合った。



彼はすぐさま気合を入れなおした。


椅子に腰掛けもせず最終ラウンドに向かった。


優勝した。



試合の後、私が座っているところまで報告にやってきた。



「先輩が怖い顔をして言った言葉が聞きました。あれで気合が入ったのでがんばれました。でも、怖くて椅子には座れなかったです。気力で勝てました。ありがとうございました。」


ははは。顔怖かったか。


つまらん減量してなけりゃ俺も黙って座ってるんだけどな。


またがんばれよ。今度は俺に怖い顔をされないようにな。


彼もテコンドーバカ。


強い男になってほしい。

2008-08-05

二つの試合(その2)

後輩の道場からオーバー30で試合に臨んだ選手がいた。


がんばってね。

高校生や大学生がテコンドーをやる。30歳を超えてからテコンドーをはじめる人を何人か見た。


若者ほど技術がグンと伸びたりスタミナがついたりという劇的な変化はないものの、それなりにゆっくりとうまくなっていく。

がんばれば年齢相応に上達していくのである。


彼らの1勝には若者のそれとは格別に違う意味がある。


第1試合。



勝利。



よかったね。まずは1勝。


第2試合。



トーナメント表を見た。


相手の名前を見て目を疑った。



この男は・・。


彼には何も言わずに試合に送った。



試合が行われた。



その男。



丁度1年前。


やはりテコンドーの試合途中だった。


居眠り運転をしていたその男はセンターラインを大きくはみ出し、対向車と正面衝突。


胸はつぶれ、心停止。


脳はすぐに酸欠状態になり、脳の一部は壊死してしまった。


命は取り留めたものの、予断を許さない状況が何日も続いた。

家族は植物人間状態を覚悟するように医者に言われていた。


父親もテコンドーの指導者で友人。


父親はその大会の実行委員長を勤め上げた。

気丈に振舞っている姿がよけい痛々しかった。



ヒロシ。

彼のことは子供のころから知っている。

拳法やテコンドーをやっていた。


肺や循環器系をはじめ脳にも大きなダメージを受けた。

言語や記憶にも大きな障害が出た。


命を取り留めたものの、最初は人間らしさは消え去り、食べて寝てうろうろするだけ。


それでも家族はあきらめず、献身的な介護を続けていた。



その後、数ヶ月して会った。


佐賀で行われた試合に家族とともに遊びに来ていた。


本人が嫌がらないので家族がリハビリとして連れて来たのだという。


お!元気になったね!


声をかけると、私のことは覚えているようで



「覚えてるの?」と母親に確かめられると


「試合で会ったね」


と笑った。

昔の切れるような眼光は消えていたが、よくぞここまで、と正直思った。


これ以上を望むのは欲だとも思った。



あれから1年。



目の前ではテコンドーの試合が行われ、戦っているのはヒロシである。



戦っているその男。


がんばれ!ヒロシがんばれ!


熱いものがこみ上げてきた。


まだ少し、記憶に障害があるそうなのだが、もう大丈夫。


よくぞここまで。


来年からは大学にも復帰するそうだ。


ヒロシ!がんばれ!



2008-08-04

二つの試合

少し前から息子が何やら妻にごにょごにょ言っている。

どうやら、中学の部活で始めたバドミントンとテコンドーの両立がキツいので、テコンドーを止めたくなったようだ。

初段とったし、試合で何度か優勝もした。

父親としては、別にやめてもいいと思っている。

あまり格闘技に向いている方ではない。

4歳で始めてから8年間、嫌がりもせずよく頑張ったなと感心している。


父親が師範というプレッシャーもあったろう。


昨年初段を取った。

初段は帯の色こそ黒いが、武道へのほんの入り口に過ぎない。

人の「道」としての武道はここから始まるのである。


親として、入り口までは付き合ってやった。


ここから入り口の扉を開けるかどうかは彼が決めればいい。


そう思っている。


息子は妻にその話を頻繁にしているようなのだが、私には未だ話さない。

コワいのか、他にワケがあるのか知らないが、どちらにしろ私に打ち明けない理由は彼の中にある。


試合当日。


セコンドは私がついた。

コールを聞いて控え席に座っていると、沈黙を破ったのは私。

セコンドとして相手選手のクセとその対応と攻め方を伝えた。

息子は頷き、コートを見つめた。



再びの沈黙を破ったのは息子。


「お父さん」

いつもの妙なイントネーションで私を呼んだ。


「お父さん、僕、この試合で優勝したら引退する。」


そうか。やめるか。


それもよかろう。


心は揺れない。


「なら、頑張れ。目の前の試合に集中せ」


去年の試合で負けた相手。


2ラウンド、両者0点のまま延長へ。


延長ラウンド、前半うかつにも失点。


スコアボードには1が点灯。


いい形にはなるのだがなかなか得点できず、外野にいた後輩指導員までが声を荒げて指示を出した。


彼は笑っていた。


相手との蹴りの駆け引きを楽しんでいるような、試合を楽しんでいるような表情をしていた。


1分をきってから、上段に一撃。


蹴りがきれいにヒットした。


上段は2ポイント。


その差のまま、タイムアップ。




息子は優勝した。


私が親として彼に渡せるもののひとつ。


しかと渡した。



受け取れ。
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しま・しま

Author:しま・しま
土からつくるここだけ芋焼酎「たばらそだちプロジェクト」を立ち上げました。土と食、命がつながるといいなと思います。

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