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2009-08-21

職人みょうり

火曜日からずっとぶどうを売っている。

多くのお客様からご心配いただく。


「今年は天気が雨ばかりだから出来柄が悪いでしょう?」


確かにそういう話をよく耳にする。


そうですね、農業って大変です。




まあ、一粒。ご試食どうぞ。


召し上がっていただいてからの反応。


これがすこぶる楽しみ。





「まぁ!甘い」




どういうワケだか、うちのぶどう。悪くない。



うちのぶどうの形態が今年のような気象に強かったのか、必要な時に必要な気温や雨が間に合ったのか、真相はよくわからない。




ぶどうに聞いてみた。


ぶどうが色着きはじめる時期に新枝の伸びがピタリと止まった。

それから果実が熟す時期に葉に見られる虎葉、マグネシウム欠乏症がない。

枝の伸びが止まったのは、ぶどうが作った養分を全て果実に仕向けていたことを意味する。



この時期、枝がだらだらと伸びていると、色着きが遅れたり甘さの元になる糖の蓄えが増えない。




植物の生長は栄養生長と生殖生長とがあり、枝や葉、樹の生長が前者で花や種、果実にかかる生長が後者である。


果実の品質を高めようとすると、一時的に栄養生長を生殖生長に切り替える必要がある。



このあたりの技術が職人の技であり、今年はこの生長スイッチが守備よくいったのだ。


さらに虎葉が出なかったことは、これらの生長ステージがスイッチし、果実が完熟に達する時期を迎えた今でも葉が元気に働いていることを示している。



これらはぶどうからのメッセージ。





いい意味でお客様の期待を裏切る。


職人みょうりに尽きる夏。
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2009-08-20

法匪(ほうひ)

8月5日。この日は特別な意味を持つ。

ネットで調べるとタクシーの日と出てくる。日本で初めてメーターを付けたタクシーが運行し始めたのがこの日なのだとか。


農業、水田農業においてこの8月5日は特別な日である。



日本の水田農業の歴史は、そのまま米の生産調整の歴史でもある。


水稲の作付けをするかわりに他のモノを植えたら、補助金をあげますよ。


特に麦、大豆を植えるとさらに補助金の額を厚くしますよ。


人間を効率的に方向付けるのは、やはり金なのである。


麦・大豆への水稲転作は進み、福岡県内でもあちこちで大豆を作付けているのを見ることが出来る。




福岡で植えているのはフクユタカという品種で、豆腐の原料などに適している。



植物の多くは、日の長さを自分達の人生設計に活用している。


一日のうち昼間の長さがある一定より長くなったり短かくなることで体内のスイッチが入り、花を咲かせる準備をする。



キク、コスモス、ダイズは、昼間の長さが短くなると花を咲かせる。これらの仲間を短日植物と呼ぶ。

逆に昼間の長さが長くなることで花芽を分化させるものを長日植物といい、アブラナ、ホウレンソウ、コムギなどがこれにあたる。


どの世の中にも私のようなぼーっとしたのがいるわけで、バラ、スイセン、チューロップなどは日が長くなろうが短くなろうがお構いなしに花を咲かせるマイペースなヤツら。


大豆の多くは短日植物である。

昼間の長さが短くなった時期に植えると、十分に生長するまえに花芽分化のスイッチが入ってしまいう。

でっかくなりきる前、チビ助のまま種を育もうとする。

花がつく枝が未熟で本数が少なく、また種に向ける養分を生産する葉っぱも少ない状態でスイッチが入ってしまうのである。


彼らのスイッチにはONはあってもOFFはない。

一年のうちで最も日が長いのは暦のうえでは夏至となる6月下旬。

この頃から日に日に日長は短くなっていく。


その性格上、タイムリミットとなるのが8月5日なのだ。

これは統計上、はっきりしていてこの日を過ぎると日を追うごとに収量が激減してしまう。

大豆は大豆専用のコンバインで収穫するため、大豆の草丈がある程度高くないとコンバインの葉がすくえない。


種まきが遅れると豆はできないは、収穫し辛いはでどんどん状況が悪くなってしまうのである。

ならば梅雨入り前に植えればいいじゃないかということになるのだが、そちらも道を塞ぐ理由がある。

まず、米、麦、大豆の輪作として大豆栽培があるのだから、作業工程的に麦の収穫→田植え→大豆の種まきという流れとなり、自ずと種まき開始時期が決まってくる。

また、大豆は余り早く植えすぎるとどんどん成長して枝と葉ばかり繁った挙げ句に花のことを忘れてしまうという困ったちゃん。

現在のところ、梅雨明けに翻弄されるほかないのである。


県の南側は梅雨前線が北上した隙に何とか巻き終えたようだ。

北側では梅雨前線が十分北上しなかった為に種まきのタイミングを失してしまい、現在4割が完了。

多分、今週末あたりが山となる。


まいても採れないと分かっていながら。


なぜか!

なぜ分かりきったドラマの幕を開けようとするのか。


補助金。


水田転作の補助金は種をまいてある程度まで育てれば収量が皆無でも受け取ることができるのだ。

水田転作という政策は、種まきという入り口を担保に補助金を配り、どれだけたくさん採れたかとか、品質の良いモノをつくったかといった結果については不問なのである。


頑張ったら報われる施策ではなく、頑張る振りをすれば金がもらえる制度。




ただでさえ困難を極める大豆栽培を前にそんな甘味な補助金をぶら下げられしまったら。


俺ならばわりいことを思いつく。



法や制度の抜け道を探し、その精神をねじ曲げて悪用すること。これを法匪という。


・・・・。


疑問を禁じ得ない8月5日なのである。

2009-08-19

農村伝説

毎朝ニンジンジュースを飲んでいる。


最初は友人の農家から有機栽培のニンジンを買っていたが、金が続かないので、自分で栽培するようにした。

元気な土には元気な野菜が育つ。

元気なんだから病気や害虫は近寄らない。

元気なニンジンのおかげで私も元気になった。

ニンジンだけでは勿体ないので畑には、シシトウ、ピーマン、トマト、ジャガイモを植えた。


少し前にピーマンとシシトウを収穫した。

TS3H0262.jpg




家に持ち帰ると、翌日の夕食で天ぷらにする、との事だった。


そうか。


天ぷらというのは、素材の味がダイレクトに現される料理だ。

そうか。


うまい野菜なんだから天ぷらでその奥深い味を楽しめる。


それはいい。





翌日。

仕事から帰ると家族の夕飯は既に済んでいて、私の分だけテーブルに置いてあった。


お!

約束通り野菜や魚の天ぷら。


期待に胸は高鳴る。

あ、こっちがピーマンでこっちがシシトウね。



どういうワケだけシシトウだけ大皿。


家族から注がれる視線。


ど、どうしたの?




「おいしかったよ!食べり。」



まずタマネギに箸をのばそうとすると



「いや、そっちのシシトウ食べてみて」





・・・・。


何から食おうが俺の自由だろうがよ。


そう思いはすれど口には出さない。


出せない。



・・・・。



なんなんだこの雰囲気。


気になりながらも黙ってシシトウの天ぷらを口に運ぶ。


コロモのサクッとした歯触りのなかでシシトウの少し苦味の効いた香りが口に広がる。



うまいじゃないか!


なんなんだよ、まったく。



うまいじゃね~か!



このシシトウは元気な土に…





!!!!!





ゲーーー!





火事火事火事!




口が火事!



ウ~ウ~ウ~ウ~と消防のサイレンが鳴り響く!



ミズミズミィーズー!




置いてあったお茶をがぶ飲みしたが治まらない。



テーブルにあったういろうを口に投げ込んだ。





「ね、辛かちょろう?」



家族はどうしても私に、この喉を焼き尽くすほどのシシトウを食わせ悶絶させたかったようだ。



うううう。



韓国に1週間ほどいたことがある。その時に毎日辛い料理を食べ続けたおかげで、少々の辛さにはびくともしない私だが、今回は死んだ。





シシトウは唐辛子の隣に植えると飛び上がるほど辛くなる、という農村伝説がある。


もうろうとする意識のなかでそのことを思い出した。



私が帰る前に家族は大惨事に見舞われたらしい。


10割で当たりだったそうだ。


唐辛子とシシトウ、ピーマン。


これらはすべて唐辛子の仲間。


辛いか辛くないかの違いはあるにしろ同じナス科の中でも近い種である。



これらは種が近いために互いに交配しあう。



でも待てよ。


辛くないピーマンとも交配しているはずだから10割辛くなるのはおかしい。



甘柿でも渋柿の花粉で受精して種が出来るものが多い。そうした果実が渋柿になることはないしな。



唐辛子と交配した、ということよりも自分以外の花粉で交配されると辛い種子になってしまうのかもしれない。




もやもやするので専門家に聞いてみたが、確証は得られなかった。



韓国でチヂミを頼むと、この手のシシトウか青唐辛子が入っていて何度か死にそうになったことが何度もある。


あれと同じ種類だったのかもしれないな。



苗を買う時に適当に買ったから・・・。



もともとそういう苗だったのかも知れない。


うううううん。



一家に災難をもたらした原因は、交配か”誤”植か。




どちらにしろ責めを負うべきは私意外にいないようだ。




それにしてもナパーム弾ほどの破壊力。



欲しい人はどうぞ。

2009-08-18

誤算

「今年は果実の市況が厳しいらしいな」


父が切り出した。


毎年、この時期になると少し弱気になる。


どうやらぶどうの売値を少し下げようか迷っているようだ。



例年の価格1キロ(二房~三房)1600円。



それを100円下げるかどうかの決断。


スーパーで350gパック(一房)398円、生協で800g(二房)980円位が相場である。




これを1キロに換算するとスーパーが1137円、生協が1225円である。



まあ、一房売りか1キロ売りかという量目の利便性はさっ引いて考えると明らかに1600円は突出している。これを1500円に引き下げたとて同じである。


別に孤島に1軒だけのぶどう園だ、とかまわりに競合する果樹園が無いわけではない。直売所の目前にあるものを含め半径1キロ以内には2つのスーパーがあり、直売をしている農家は町内に4,5軒ある。


1600円のぶどうを買いに来て下さるお客さんは、その価格に見合った価値をしましまぶどう園に見ておられる。



父は、この強気の価格に見合った価値を果実に込めようと1年間いや、40数年もの間、必死で頑張ってきた。



マーケティングの基本は、その商品やサービスが売れ続けることでその顧客や社会が向上する仕組み作りにある。そこまで構築出来れば利益は着いてくる。



ぶどう園の社会的存在意義を問われれば、それは美味いぶどうをお客さんにお届けし、一時の幸せをかみ締めて貰うこと。



そこを突き詰めていけば、ひたすらに糖分の高い果実栽培にたどり着く。



そのことに真っ正面からとっ組あい、苦しみもがいて必死でやってきた父。


ぶどうが甘くなる技術はほぼ確立した。秘伝という訳ではない。



私ならばその技術を囲い込み、ビジネスのコアにしてしまうのだが、どういう訳だかこの男、講習会とかなんとかを開いては、仲間達に広めようとする。


あんたが普及員になればよかったね。



家にいるより畑にいる時間の方が長い。夜も電気を付けて畑でぶどうを見ている。



楽しいのか?と聞いたことがある。



「楽しいな。俺はぶどうの栽培が好きなんよ。」





その父が、ぶどうの直売開始を目前にしたこの季節、少し弱気になる。




そうか。




いくら頑張ったからといって、好きだからといってその評価はシビアに売り上げという数字で表される。



不安なんだな。




よし。



親父、俺に任せろ。




しましまぶどう園からお客様へ。


果実の甘さの他にメッセージを届けよう。



紙媒体「しましまぶどう園 ぶどう畑通信」


これにどうしてしましまぶどうが甘くなるのか、その後ろにどういう喜びや苦労があるのか。



しましまぶどう園の等身大を見て貰おう。




そのことで甘さ以外の何かを感じて頂けたら、それはしましまぶどう園にとっての幸せ。


一昔前まで6割が農家だったこの国の農家人口は全体の4%にまで減少した。



社会の中で農業が果たしてきた役割を担うには、農家が少なすぎる。


失ってしまった農の役割。


果実は嗜好品ではあるが、やり方を考えれば何か出来るかも知れない。




先日書いた野鳥との戦いをA4一枚にまとめ、「しましまぶどう園 ぶどう畑通信」を制作し、父に渡した。




「こういうのを暑中見舞いと一緒に送ったらいいんよね」



いや、店に来たお客さんに配ったらいい。郵送料も要らん。



週に1回くらいのペースでつくるから、その都度500枚位を配りきってよ。そしたらリピーターにも繋がるから。


翌日、店を覗いてみた。



あら。



店頭に通信がない。



1日で配りきったか?




聞いてみた。




「あ、あれか。あれな。配ってない。」




なんで!!!!






「あれ、配るのはずかしい。」




・・・・・・。











ちょっとあからさま過ぎたか。


悪くはないんだが、自分のことをそのまま書いているので本人がそれを配るのは恥ずかしいんだそうだ。



園主がそういうんだから仕方がない。




というわけで第1刊にて廃刊。



090728_1143~01
↑幻のしましまぶどう園ぶどう畑通信

「おまえの得意なネットとかそういうのやったらいいぞ。けどここで配るのはつまらん。」







ということで。




みなさまにお願い




しましまぶどう園ブログをつくったので、そちらにアクセスして下さいませ!!!!!

http://teshima1.blog88.fc2.com/

bar_手嶋ぶどう園_090723120534





それから10人の友達に知らせて下さい!携帯でもアクセス出来ます。


お願いします!!



皆様のお力で、私の没企画を生かして下さい。



うううう。




お願いします~!!!!
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しま・しま

Author:しま・しま
土からつくるここだけ芋焼酎「たばらそだちプロジェクト」を立ち上げました。土と食、命がつながるといいなと思います。

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