2009-09-30

いよいよ収穫です!

大変大変ご無沙汰をしております!

みなさんと2回目の草取りをしたのが七月はじめ・・・。

あらら、二ヶ月ですか。

その間、会員のみなさんから

「草は大丈夫ですか?」

「スタッフだけで草取りをされているんですか?」

と何度かご心配のお声をいただきました。
 
これが今の状況です。

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七月まで草を抑えたことで、芋達がのびのびと育ち、地表を覆いました。

そうなると地面に日が当たりませんので他の草が生えにくくなります。

今年は梅雨が長引き、雑草の生育も旺盛でしたので、盆明けにスタッフで一度周辺の草刈りをしました。

畑の中に生えた草を草刈り機で刈ろうとすると芋のツルまで切ってしまうので、この段階での草刈りは無理。

ただ、気になるのがアオゲイトウ。


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ケイトウの一種で、明治以前に日本に入ってきた、由緒正しき帰化植物。

ケイトウの十四、五本もアリぬべし、なんて悠長に俳句なんかしている場合ではないんです。

こいつら、一株に五十万個の種を実らします。そして一株一株がどんどんでかくなってドーンと林みたいになってしまいます。

そうなると土の養分を取られるばかりか日光が芋にあたらなくなり大事な芋の収量にかなり響きます。

ぶどうのハウス側から見て奥の方に毎年タデがめきめき生えてきます。

除草剤等を苗さしの前に処理すれば絶えるでしょうし、わざわざみなさんに出てきてもらって手作業をしていただくまでもありません。

機械で除草剤を散布すればあの畑で、十五~二十分もあれば済みます。

が、それはやりません。


○除草剤の話

田んぼでお米を作る時の労働時間を調べてみました。今から四十三年前の昭和四十年。苗つくりから田植え、草取り、薬散布、収穫乾燥などなど。

その殆どが手作業でした。

十アール(千㎡、三十二メートル真四角)当たり、農家は百四十時間作業していました。

一ヘクタール(十アール×10)も水田を作っていれば大百姓と言われていた時代です。

また、米の値段も悪くなかったのでそのくらい水田を作ってそのほかに野菜を少し栽培すれば十分生活出来ていました。


その後、日本の主食であるお米はみんなの米離れから消費が減ったこと等から国内の米が余り始め、生産調整といって「米をこれ以上作ってはいけません」という制限が行われるようになります。

また、国により海外からの安い農産物に負けないよう大規模に米を作って経費を低くし足腰の強い農家になるような政策が進められてきました。

しかし依然米は余り、年々米の値段が下がっていくなか、農家として生き残ろうとすれば作る面積をどーんとでかくして薄利多売の状況で利益を出さなければならなくなりました。

面積を増やすといっても働く人数は同じなので、一人がそれまでやっていたよりももっともっと広い田んぼを管理するようになります。

機械化で作業のスピードを上げたり、手間作業を省くことが出来る技術を導入しないととてもじゃないけどやりこなせません。

耕起や代かきはトラクター、田植は田植機、収穫はコンバインという具合に機械化にシフトしていきます。

昭和四十年代、年間二十時間程度、田の草取りをしていました。

しかし、十ヘクタールとか二十ヘクタールそんなことをやっていたら、そりゃ~もう草取りだけで一年が終わってしまいますから、手で取るなんてことはできません。

そこで開発されたのが除草剤。イネは枯らさずに他の雑草だけ枯らすことが出来る高性能!

最初は機械で散布していたものが、畦からポンと一袋投げ込めばそれで済むような優れものまで開発されました。

適期に処理しないと効かないとか広葉の雑草には効くがイネ科のには効かないとか多少問題はありますが、除草剤のおかげで除草にかかる作業時間は一時間程度に短縮されました。

産業としては目覚ましい進歩です。



除草剤が水田内外の環境に大きな負荷をかけていることは、さまざまなメディアでも取り上げられ、調査もされています。

農家はそれを知らないわけではありません。

除草剤を含めた農薬を散布する農家自身が最もその被害を受けているからです。

ただ、それを使わないと自分の生活が成り立たない。

農家は誰かが憎くて除草剤を使っているのではなく、この国ではそうでもしないと生きていけない、ということなのです。


農家が米を作るのに必要な費用の合計は、福岡県の平均で十二万円ちょい。

十アールに八俵(四百八十キロ)収穫できたとします。一俵の価格が一万二千~三千円。




・・・・・。




ちょっと待って。

13000円×8=104,000円だから、

収入は十万四千円でしょ?

経費が十二万だったら思いっきり損じゃない!




そうです。

米作りは既に作れば作るだけ損なんです。


米に限らず、多くの農作物が儲け薄や作れば損という状況に陥っています。

困りました。

コスト削減ももう限界の様相。


 「遺伝子組み換え農産物」って聞いたことあるでしょう?

あれって遺伝子組み換えで増産出来る品種を作ったりすることの他に、除草剤抵抗性の品種の育成も遺伝子組み換えでやっています。


ラウンドアップをぶっかけても枯れない作物が出来れば、なにも考えずに適期も気にせず除草剤が使える。

あら!便利だわ~!という代物。

「コスト削減」という旗印が見えている以上、遺伝子組み換えへの方向性は無くならないでしょう。


現に国内でも多くの研究期間で遺伝子組み換えによる農産物の品種研究が続けられていることがそのことを裏付けています。

遺伝子組み換えもコスト削減をさらに進めるのための技術なのです。

コスト削減もやばーい臭いがぷんぷんしてきました。


他の産業でもこういう努力はどんどん進められています。

ユニクロはコストを削減するために工場を海外へ移しました。

このシステムは他の産業へも浸透しています。

おかげでカッコいい高品質の衣類がやっす~く購入することが出来るようになりました。

食品業界では手間暇かけるとコストが嵩んで価格が上がるので、添加物を使います。

豚骨スープを豚骨煮込んで作っていたら何時間もかかるけど、豚骨スープのもとをびやーっとお湯に溶いたらできあがり。

店の味を添加物でそのまま再現することも技術の進歩で可能になりました。

おかげでおいしいラーメンが安い値段で食べられま~す。

ジュースだってお菓子だってレトルト食品だって食品添加物のおかげで安くて便利!

み~んなしあわせ!


全ての企業やお店がそうだというワケではないけれど、ユニクロも食品会社も、この日本という国で最も高い経費である人件費を抑えて、お客様に安い価格でサービスを提供しようとしたのです。

どっこも悪くない。

一生懸命必死に頑張っただけ。

悪くないんだけど、視野を広くして見れば国内の雇用をそれだけ海外に輸出してしまったし、添加物の摂りすぎはアトピーやぜんそく、慢性疾患の原因として問題視されるようになりました。

地球の温暖化も同じです。

みんな豊かになろうとして地球の温度をあげてしまった。

みんなしあわせを求めた結果がなんだかしあわせではない方向へ迷走してしまったんです。


うーん。

うーん。




なんだか、だんだん話がくら~くなってきましたね。話を草取りに戻しましょう。

畑まわりの草を草刈り機で刈り、畑の中に生えている草は、タデだけを剪定ばさみで切り、外へ持ち出しました。

これで芋はタデに日を遮られることなくセッセと芋に養分を送ります。

めでたしめでたし。

そう!ウチの畑には遺伝子組み換えも除草剤散布も何もない。

たばらそだち芋畑には困ったが無いんです。

四十年前にやっていたサツマイモ作りをそのままやっています。

それでもやっていける値段で芋を焼酎原料として買ってもらい、みなさんに焼酎が届きます。

うちの会費四千円。

それで焼酎瓶一本と芋五キロにキツい作業のおまけ付き。

高いか安いかはわかりません。

農業が生業として成り立たせようとすればこれくらいの価格が必要でした。

みなさんに実際の農作業を経験していただき、農業の等身大を知っていただくこと。

そしてそのことで社会の困ったを一つでもなくしたい。


これがたばらそだちプロジェクトの目的であり、私たちの願いなのです。

さあ!いよいよ収穫!




さて、芋達は。今どうなってるんでしょうかね。

スタッフも気になって仕方ありません。

今朝方、畑に行ってみました。


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あら。

葉っぱは元気そうですが・・。

スコップで掘ってみました。

緊張の瞬間・・・。




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おおお!出てきた出てきた!

かわゆいさつまいもちゃん達!


ううううん!結構いいのが入ってるじゃん!

収穫まであと一月足らず。

最後の追い込み頑張るんだぞ!

そう言って再び土を戻しました。これは期待出来そう!



さあ、みなさん!

元気な芋達が土の中でうなってます。

みなさんを待ってますよ!
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2009-09-29

お祭り

スタート準備のアナウンスがあったので、ウエットスーツを着てスタート地点へ向かった。


スイムは1周500mの三角形を3周する。スタート地点となる三角形の頂点が砂浜の上にあり、1周する毎にセンサーが反応して周数をチェックする仕組みだ。


途中で砂浜にあがりまた海に飛び込んでいくのだから、少しキツイかも知れないな。


スターターと同時に泳ぎ始めた。



それほど張り切ったポジションでのスタートではなかったが、それなりに競り合った。

右も左も前も後ろも人である。


上から見ていた人が、ハマチの養殖いけすにエサを投げ込んだ時みたいに水しぶきが上がっていたと話していた。

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2周目あたりから少しばらけはじめ、海底を眺める余裕が出てきた。


前日は雨で濁っていると島の人が言っていたが、5~6mある海底まで綺麗に見える。



泳いでいるとでっかいヒトデがいたり、エイやウミヘビが泳いでいるのが見えた。



わー。綺麗だな。



3周目が終わると砂浜から先ほどのチェンジポイントへ走り、ウエットスーツを脱いでからシューズを履き替えた。


これから自転車だ。



そうそう。ぶどうを食べよう。



赤いぶどう。安芸クイーン。


行きしな、ぶどうを持っていこうとする私に母は「血糖値が高いんだからそんなもの持っていくのはやめなさい」と言っていたな。


違うよ。走る時にはこれが必要なんだ。



時に口うるさいがそれが母の愛だ。




自転車をこぎ出した。



島の外周は20km。これを2周する。



まだ実際に走ったことはないがそれ程ハードな坂はなさそうだった。しかし走ってみると、会場の反対側あたりに結構タフな坂が数カ所あった。



ここで頑張ると最後のランまで持たない。今回は完走が目標で、3時間を切れれば御の字だ。


少し抑えて走ったせいか、20~30人は抜かれた。


沿道には、2千人いる島の人たちがみーんな出てきているんじゃないかと思うくらいあちこちで応援してくれた。


みんな、野良仕事を中断してそのまま駆けつけてきてくれたという感じなのだが、大きな声で応援してくれた。

ところどころで大漁旗を振りながら応援してくれる方もいて、目の前に広がる壮大な海と相まって気持ちを高めてくれた。


応援してくれている人たちに



「綺麗な島ですね」



そう言った。




綺麗だった。草木の緑や海の青が、どーんと目の前に広がっている。



カメラ持ってくれば良かった。



応援してくれている皆さんに。

お礼と言ってはなんだけど。

この感動を伝えたかった。




2周で1時間41分。思ったよりも坂に手こずったな。



ランニングシューズの横には黒い葡萄。


この葡萄を作りながら私たち兄弟を学校にやってくれた父。


俺はこんなに幸せに生きているのはあなたのおかげだ。

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3粒食べた。


最後のラン。


アナウンスで10kmが9.2kmへ短縮されたことが伝えられた。




あら。なにかあったのかな?




水泳、自転車、ランの3種目でどちらかというと得意なのはランである。



最後のラン。ちょっと短くなったがそれは仕方がない。




海沿いの折り返しコース。



自転車の時にもサイレージとたい肥の臭いはいつもしていた。繁殖の畜産農家が多いって言ってたな。


しかし牛の姿は見なかった。



最後のランは海側を放牧地に沿ってコースが設定されていて、走り出すと牛の姿が見えた。


おお。こんないいところで生まれた仔牛はさぞかし健康だろう。



自転車では何人も抜かれたのだが、ランでは抜いてやろう。



私は体が小さいのでストロークが短い。平地や下り坂は分が悪い。



抜くならば、上り坂。



坂にさしかかったところで前に人がいれば、射程に入れる。



私の足には坂道用のギアが付いていて、坂道になるとそこにギアが入る。


折り返しまでに何人か抜けた。



折り返してしばらくは前の視界に誰もいない状態が続いていたが、またまたいました。大学時代の学籍番号と同じゼッケン。



がんばってがんばって近づいていったのだが、途中で上り坂だろうが下り坂だろうが距離が変わらなくなった。


上り坂でもハイパーギアを使うが距離は縮まない。



さては同じギアを持っていると見た。



ならば裸単騎の勝負たい。


くそう!



へーへー言って抜くことが出来た。


それからはもう視界に誰もいない状態。



「あと100mですよ」


T字の突き当たりを左折するとゴールが見えた。




2時間56分。目標はクリアしたな。


走り終えると何とも言えない満足感に包まれた。



お祭りだな。



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2009-09-08

楽しみ度

友人に100キロマラソンを完走する70歳間近の爺様がいる。

彼はそのスーパーマラソンに出場する前、こう言った。


「スーパーマラソンに出る前に100キロがどんなもんか、いっぺん100キロ走ってみようと思う」

わはは。

どうせ100キロ走るんだったら事前にとかなんとかつべこべ言わず、大会に出ればいいじゃないですか。


それもそうだな、と思い直していたようだが、この爺様なら本当にやりかねん。



少し前に自宅に電話をしたら奥様が出て


「主人は今、筋トレに出かけています」


と、きたもんだ。


わはははは!


生涯現役を地でいくアイアン爺なのである。




私の初トライアスロンまで一週間を切った。


今になって爺様の気持ちが少しわかる。


途中でリタイヤしはしないか。一人取り残されてしまったりはしないか。


とりあえずやってみないと不安なのだ。

一回やておけば、こんなもんだな、というところが掴める。

そうだ。四の五の言わず、やってみればわかるのだ。


ショートのトライアスロンは、スイム1.5キロ、自転車40キロ、ラン10キロで構成される。


いつも泳いでいる嘉麻市のサルビアパークを起点にした。

まずはプールで1.5キロ。25メートルプールを30往復する。

本番はプールでなくオープンウォーター、海である。

その時の状況がタイムに大きく影響する。

これも醍醐味のひとつだが、今回はプールで標準を掴む。


泳ぎ終えて時計を見ると32分。


体を拭き、着替えてから準備していた自転車に乗り出した。

嘉麻市から稲築方面へ向かい遠賀川沿いを直進した。

飯塚市幸袋付近でメーターが20キロをさした地点で折り返した。

行きは向かい風を受けていた。

自転車をこいでいると、何よりも風の影響を受ける。

向かい風が強いと、こいでもこいでも進まない。

しかし、それも折り返し地点までだ。

進行方向が逆さになれば、向かい風は追い風になる。


楽しみに方向転換した。


…。



あら。


向かい風。


気象庁さん気象庁さん。一体全体どうなってるんですか。


ひとりでぶつぶつ言いながら自転車をこいだ。


飯塚嘉穂は、昔からの米どころである。飯塚、穂波、稲築、山田と市町村名には米に関係する字が入っている。


早いところは稲刈りが済んでいるな。


稲わらの香りが風に混じる。


「秋なんだ」


この香りに私は秋を感じ、どこか切ない気持ちになってしまう。


でも今年はへっちゃら。秋も楽しいことばかりだから。




サルビアパークに着いた。自転車の走行時間は1時間31分。



これから10キロのランだ。



自転車はメーターの距離数を見て折り返せば良かったが、ランの場合はそうもいかないので事前に5キロ地点を調べておいた。



山田から熊ヶ畑の方へ向かい、あのジャージー牛の白木牧場入り口が丁度5キロである。


そこから折り返せば10キロ。



走り始めると、これまでに感じたことのない疲労感。


ううう。

さすがに「俺なんでこんなことやってるんだろう」と思ったりする。


体が思うように動かない。


なるほど。やはりくるな。これがトライアスロンか。


前半を27分56秒で折り返した。



折り返してしまうとあとは泣いても笑ってもゴールに帰るしかないので、ひたすら走った。


このスイム→自転車→ランの組み合わせと順序。


誰が決めたのか知らないが、良くできているな。


疲れ度合いや疲労ヶ所の分散もそうだが、生命の危険度が順を追う毎に下がってくるあたり、考えてそうしたのかたまたまなのかは知らないが、美味くできている。


スイムが最後だったらそのまま浮いてこないヤツが沢山出てしまうだろうし、最後に自転車でもふらふらになって事故が続出するだろう。


うむむむむ。良くできている。


良くできているのだがキツイのにかわりはない。



あまり疲労が残ると来週に差し支えるのでタイムは前半より抑え気味。


後半5キロは29分28秒。ランは57分24秒。




サルビアパークに着いたところで、自分の顔がにやけているのがわかった。


ははは。


誰も知らないところで一人でひーひーやって、汗びっしょりかいて、一人で喜んでら。


俺って幸せ。


トータルで3時間ちょい。着替えの時間が入っていないので、プラス5分というところ。



海の状況と水の中であまり競り合わなければ、完走はできるだろう。


そういう確信は持てた。



一回やってみたことで、追うべき自分の背中が見えてきたな。


ははは。あと数日。楽しみ度が増したな。

2009-09-02

2度目

週に一、二度、現地調査に行く。今日も暑い一日だった。

一日中外にいたので体が乾ききっていた。


帰る道すがらにぽつんと小屋がある。

果物の直売所である。


梨を販売してる。


梨は、喉が渇いている時には最良の食べ物だ。


梨には体温を下げる効果があるほか、水分が多いので失われた水分補給にも適する。


時折、梨産地の農家や農協職員が法被を着てデパートやスーパーで販売促進を目的に試食をしている模様が新聞やテレビで紹介されたりする。


その時は売れるだろう。


しかし、梨の本当の良さというのは、この清涼感である。



暑い時、喉が渇いた時に食って初めて心からうまいと感じる。


ご飯もそうだ。満腹の人に食わせても苦痛ですらあるが、一日絶食していた人に与えれば一生忘れられない味になる。



コンセプトとターゲットの設定は重要である。


梨を売りたかったら、熱い人を探せばいい。


梨のマーケティング会議でそう主張したが誰も聞いてくれない。



まあいい。




今日は私が熱い人になっているので梨を買って食べよう。



車を停め、小屋に入っていった。



女性が2人。



梨を下さい。


「いらっしゃい。」


今は幸水ですか?


「豊水ですよ。これからずっとニイタカまでは豊水です。お兄さんどちらから?」


あの山の向こうの田川からです。あの、1つ欲しいんですけど。



俺一人でちょっと食べるだけだから1つあればいい。



小屋を見回すと5キロ入りの平箱が並んでいた。



「それならばね、これを1つあげます。これをおうぞ。あ、そうそう。これね、幸水が1つ樹になったままになっていたのを今日見つけたんですよ。完熟していますら、これも食べて下さい。」


いやいや。悪いですよ。



「いいですよ。これでね、はじめていらしたお兄さんとおつきあいがはじまるんですから。どうぞ、お持ち下さい」



いやいや。それは悪い。


しましまぶどう園には存在しない理屈である。我が家の家訓は「びた一文負けません」なのだ。





この小屋に立ち寄ったのは2度目。



昨年の秋に始めて立ち寄った。



もう少し秋が深まった頃。



そこには梨ではなく、柿が並んでいた。



ここから少し南に志波という地区がありそこの柿は志波柿といわれ、味にそれなりの定評がある。


そこの柿を販売していた。


その時もどういうものか食べてみようと、1つ買おうとしたら、今回と同じ展開で1ついただいた。



すんません、私2度目なんです。



心の中で言った。





そのまま梨をふんだくって帰るほど、悪人にはなれないな、俺。



4コ入りの袋を見つけた。



やっぱりこれ下さい。



剥いて食べてみた。


うまい。



あの梨を売っていた人達。人を疑うということを知らない秋空のような心。



俺もああなれるんだろうか。




2009-09-01

人生

2週間後となった初トライアスロン。その前哨戦として、遠泳大会に出場した。

こういう大会にエントリーしておけば、それなりに練習するだろうと思ったからだ。


昨日がその遠泳大会。


志摩町の芥屋海水浴場で行われる。主催は社団法人日本国際オープンウオータースイム。

3000mの部にエントリー。



会場に到着してすぐに受付を済ませ、パンフレットを貰った。



この主催、結構いい加減というか力が抜けているというか、もわ~っとしたところがある。



大会へのエントリーには日本を泳ごう委員会という団体への加入が義務づけられている。



友人が会場で加入について聞かれたので、「入っています」というと確認も何もなく「ああそうですか」で何も問題なかったという。



そういう雰囲気が私には合っているから好きなのだが、神経質な人はちょっとダメだろう。


パンフレットを開けて、自分の名前を見た。



あ。



あったあった。



・・・・。



手嶋洋司  長崎県出身 42歳。



何か違う。



昔、佐賀にいた頃、テコンドーの協会がもめていてて長崎からエントリーして大会に出たことがある。



今回は、無論なにももめていない。




・・・・・。




私の上の人が福岡県出身で41歳になっている。


おまけに所属団体名「川筋魂」



あの。私以外にこの団体を名乗る御仁がおられたとは・・。




・・・・。




ずれてるじゃんかよ!表が!!!




エクセルかなんかで、作成している時にずれてしまったのだろう。




まったく。がくっと力が抜ける主催者なのである。





400m、1000m、3000mの部という順で行われる。



まずは400m。



先日から日本列島に接近している台風の影響で直撃ではないにしろ海には影響が出ている。


白波が立っているのが見える。


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内海といえど今回は過酷になることが予想される。




オープンウオーターの大会では、波が立っているからと言って中止になることはあまりない。


雷の場合だとかなり危険なため即座に中止である。



過酷な条件下でレースが行われた場合、棄権者が出るのは最初の5分である。




一旦海に入ってみて、波のうねりや水温といった海ならではの環境に心が折れてしまうのだ。



プールのような波なし、水温快適、コースがはっきりしているという環境はここにはないのである。


海はプールとは違う。




これから1000m、3000m泳ぐ自信が崩れてしまった時、選手達は棄権という道を選択する。



400mくらいなんだからなんとかなるさ、と無謀にも泳ぎ続けた場合どうなるか。



1000m以上だと遊びや冗談ではゴールできないが、400mくらいならなんとかなるんじゃないか、そう思える。



確かにゴールは出来る。


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写真奥のほうを泳いでいる選手が一人。こちら、前半からずっと最後尾を孤立してゆっくり進んでいた。



棄権するだろうと浜から見ていたらそのまま泳ぎ続けた。




かなり、時間をかけ、レスキューの人達全員を護送船団に引き連れてのゴール



おまけにゴールまぎわではみんながアーチを作ってお出迎えときた。




BGMも泣かせる感じのが流れていた。




こんな演出されたら「棄権します」なんて言えなくなるって。



400mの選手が完全にゴールしてから1000m、そして3000mという運びになった。


波浪注意報のため、1500mのコースを800mにショートカットして1000mは800mへ3000mは1600mへ短縮された。



3000mは1500mのコースを2周することになっていたのだから、それが800mになったのなら2周じゃなくて3周させてくれればいいのに、そう思っていた。



1000m。友人が一人エントリーしていたが、波が邪魔をしてクロールが出来なかったと途中棄権。



むむむむむ!




今回はヤバイかも知れない。




スタートした。





60人くらいのエントリーなのでそれほど混雑はしなかったが、コーナー付近は人が集中するので気をつけないとラリアットを食らったり、ゴーグルをはぎ取られたりする。




波のため、目標が見にくく、何度かコースアウトしそうになったが、なんとか泳げる状況。


海中の視界はほとんど無く、アオサや浮遊物が浮いている。



プールとは違う。プールとは違うのである。


この環境で2400mも泳いでいたら死んでしまう。




1600でよかったよかった。



泳ぎながら思った。


2周目から隣にやたらと拮抗するおっさん一人。



めんどくせーな、離れておよぎゃいいのにさ。




最後の直線でもぴたりと横についてくる。




なんだよなんだよ。



ゴールまぎわで順位を競う気はないし、うっとうしいので最後ゴール付近で譲った。


背だつようになってから立ち上がって顔を見ると、見覚えのある顔。




あ。かこい。



友人だ。




「しましまさんの黄色いパンツが見えたから、必死に負ってきたんですよ。結構スパートかけたでしょ、なんとかついてきたんですよ」



あ。お前か。





私のパンツは一目で私だと分かるようで。でも私からは誰が誰だか分からない。


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そうか、おめーだったのか。






これまでに出場した遠泳大会は、凪だったことが多く、恵まれていた。



そうではない海を十分に堪能できた。

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海はプールではない。


対峙するのは他の選手ではない。


組み合うのは自然というでかい相手である。


2週間後に向け、ひとまずふんどしを締め直そう。


あの白波に向かう自分に酔う。この状況に身を投じようとする俺は、なんとカッコイイのか、と。


そうなるとへっちゃら。



何も考えず飛び込めば何でもないのだが、考えれば考えるほど不安が募り、怖くなって止めてしまう。


人生のようじゃーないか!

いや、人生そのものだ。

こういう状況だから人間というものの本質がよく現れるのだろう。

あーおもろ。

2009-09-01

旬の味

先々週でビニールハウスのぶどうが終了した。

現在は、直売所の裏にある露地の畑で採れたブラックオリンピアと安芸クイーン(紅)を販売している。

作物を自然の気象条件のもとで栽培することを露地栽培といい、ガラス室やビニールハウスなどの被覆条件下で栽培する施設栽培に対して、日照、降雨、風、霜などの自然の影響を直接うける。


この露地での栽培こそが本来の旬を生み出す。

うちのビニールハウスのぶどうは、お盆前にお中元として購入したり、お盆に久しぶりに集まったご家族で一緒に食べたい等、お客様からの要望をもとに栽培している。


これは旬ではない。植物も自分が育ちやすいステージを知っている。旬でない時期に収穫しようとすると、本来ならば要らなかった薬を散布したり、余計な手間がかかったりする。


本来春が旬のキャベツを夏に収穫するために30回以上も農薬を散布しているなんて話を耳にしたことがあるだろう。


ぶどうの場合、盆前に出荷するためにはビニールハウスで気温を上げ、生育を早める必要がある。


ビニールをかぶせたり剥いだり、暑い日には少しビニルを空けて気温の調節をする必要がある。その分は手間である。


手間ではあるが、雨が直接ぶどうに当たらないといういいことがある。

ぶどうの病気の多くは、雨で広がる。病原菌が雨粒であちこちに飛び散ることで病原菌が拡散し、発病する。


雨があたらないと、病気の発生が減る。


つまり、農薬の散布回数が減るのである。



これはありがたい副産物だ。


早く収穫するために薬を散布しまくらなければならないならば考え物だが、薬をかけなくていいならそれにこしたことはない。



そういうワケで、手嶋ぶどう園ではハウスと露地の栽培でぶどうをつくっている。




先週から出荷の露地ぶどう。



お盆頃にちょっと味見をしてみた。



糖度は17.5度。色づきは8割。



うむむむ。


間に合うのか?



ハウスぶどうの生育は良かった。九州は梅雨入り前、もう夏なんじゃないかというくらいにカンカン照りが続き、あちこちで水不足が言われていた。


その頃の日照をいっぱいの葉っぱが受け取り、ハウスぶどうは甘く、色づきも玉太りもよかった。




しかし、露地ぶどうはこれがどこかうまくいっていない気がしていた。



最後の追い込みで日照が必要だった7月下旬から8月上旬にかけ、曇天が続いたからだ。



晴天がかたまり始めたのは最近になってからである。



うむむむむむむむむ。



後はお天道様とぶどう達にすがるしかないのである。




一旦、出荷を中断することも考えたが、出荷前日に糖度を測ってみると18.5度!




おおおおおおお!



がんばったな!おまえ達!


これなら、またお客さん達に喜んでもらえる。




何とか間に合いました。



露地ぶどうは、ハウスに比べ投資も少ないので、値下げさせて頂きました。




9月に入ってから、紅品種セキレイも出荷予定です。


旬の味、甘く仕上がってますよ。http://teshima1.blog88.fc2.com/

2009-09-01

最後の楽しみ

人間ドックに行った。


ここ数年、胃カメラの時に麻酔薬を使ってもらっている。


2度、意識があるままで胃カメラを飲んだ。


長いファイバースコープを飲み込むのだから、当然おえっとなる。


「喉は動かさないようにして下さい」


こんな苦しいことはない。


「がんばりましょうね。もう少しですから。はい、大丈夫ですよ~。」



冗談ではない。


苦しいのは俺だけだ。



3年前に麻酔薬を使って寝ている間に胃カメラを飲む方法があると聞き、お願いした。



寝ている間に終わっているのである。



最初に胃の中の泡を消す薬をコップ1杯飲む。


次に喉の感覚を麻痺させる薬を5分間かけてゆっくりと飲み込む。



最後にこれまた口の中を麻痺させる薬をスプレーで散布してもらう。



ここまで準備できたところで胃カメラのあるベッドへ移動する。



横になり、口に胃カメラを入れるマウスピースを固定してから左腕に麻酔薬を注射して貰う。



ほんの2,3秒。

注射している看護師に「この薬どのくらいで効き始めるんですか?」



答えを聞く前に意識はなくなる。



墜ちていく。





そういう感じである。



一度お願いしてからあまりにも快適なので毎回お願いしている。






誰かが言った。



「あの薬、怖い。なんだか死んでいくみたいでさ」


そうか。



死んでいく時、こんなやすらかならばいいな。



死ぬ時ってどうなんだろう。



この答えは誰に聞いても分からない。



死んだ後ってどうなんだろう。



これまた誰も知らない。




そういうことを考えていると「死」へちょっとワクワクする自分がいる。



そんな自分に気づき、ちょっと慌てるのである。



やってみないとわからない人生の最後の楽しみにとっておこう。


死ぬが死ぬまで楽しいのが私の人生なのである。
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土からつくるここだけ芋焼酎「たばらそだちプロジェクト」を立ち上げました。土と食、命がつながるといいなと思います。

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