2009-07-10

カポエラ

カポエイラ。

16世紀にアフリカからブラジルへ労働力として連れてこられた黒人奴隷達。

支配者達は彼らの暴動や武装を恐れ、奴隷達の武術取得を禁じてしまう。

奴隷達は支配者達の目を欺くため、ダンスに見せかけ密かに自分達の武術を確立する。

カポエイラの誕生である。


そのアクロバティックなアクションは奇しくも武術の域を超え、芸術までに高められている。






仕事が終わり、いつものように職場周辺を走っている時のこと。


一つめの信号を渡り、農道の直線に入ったところで別方向から走ってきた女性と出くわす。


女性も走っている。


年の頃は私と同じか少し下あたり。





この通りは車の通りが少ないこともあり多くのジョガーと出くわす。


しかし彼女は明らかにそれとは違う。



普段着にエプロン。



足元はサンダルである。



サンダルのかかとがカツカツカツとリズミカルに音を奏でる。





何か急ぐ用でもあるのかな。


見渡してみると先方に田植えの準備をしているトラクターが一台。


はは~ん。あそこのおっちゃんに急用か何かを伝えに急いでいるのか。


このおねいさんはおっちゃん家の嫁だな。


明日頼んでおいたイネの苗が急に届かなくなったとか、加勢人が急にこれなくなったとか何か急用を伝えに急いでいる。


トラクターのオヤジは偏屈で、ちゃんと伝えておかないと明日の段取りが、とかなんとかいつまでもいつまでも小言を言うから嫁はたまらない。




それは大変。がんばれおねいさん!


勝手にストーリーを作ってにやにや眺めていたらトラクターを過ぎてしまった。

右手を見るとまだおねいさんは走っている。



全く知らない私とおねいさんが農道の左右道端を並行して走るという、全く持って不自然な状況ではあったが、ペースを乱すのもいやだし、トラクターまでだと勝手に期限を付けていたのでそのまま平行して走っていた。


ペースと言えば、私はそれほど遅く走っているわけではない。



平坦地だから多分1キロ4分30秒から40秒くらい。



普通の人がいきなり走るには少しキツいペースである。



2ブロックほど走っているが、カッカッカッとかかとの音をさせながら彼女のペースは一向に衰えない。



もう2ブロック行ったところで彼女は左折していった。


彼女が曲がった先には、目標となるものは何もない。


・・・・。


何だったのだろうか。






あ。



カポエイラ。







「よし子さん、あなた、家の嫁なんだからしっかりして貰わないと。いつまでも独身気分でマラソンだのジョギングだのやって家のことはほっぽらかしてたんじゃねぇ。あたしたちが若い頃はこうじゃなかったけど、いいわねぇ、今の若い人たちは」


よし子は、好きなジョギングをくそばばあの姑から遠回しに皮肉たっぷりに禁じられてしまう。


わたし、まけないわ。

いいの。

少しだけ。

少しだけでも走りたいの。

そうよ。

走れたらそれでいいの。

よし子は決心する。ジョギングじゃなきゃいいのよ。ジョギングじゃなきゃね。



足にはサンダル。エプロン姿で走る。


「あら!よし子さんどこ行ってらしたの?まさかジョギングじゃ」



「いえ、おかあさま。あたしお買い物へ」


これ見よがしにエプロンとサンダルを見せつけながら、きっぱりと姑に言い返すよし子の額には心地よい汗がにじむのであった。






よし子。がんばれ。

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